昔、丘の上に小さな村がありました。
そこに住むアヤという少女は、貧しいけれど、いつも笑顔を忘れない子でした。
家は古く、贅沢とは無縁。それでも、両親は優しく、毎晩一緒に小さな食卓を囲んでいました。
ある日、夕暮れの畑道を歩いていると、草むらの奥でひときわ強く光る石を見つけました。
その光はまるで夜空から落ちた星のように、澄んだ銀色を放っていました。
アヤはそっと拾い上げ、両手で包み込みました。
すると石は静かに砕け、無数の光の粒がアヤの手のひらに舞い降りました。
その瞬間、胸の奥が不思議なほど温かく満たされました。
それが「星の贈り物」でした。
その夜から、アヤの家の畑はたわわに実り、両親の顔も明るくほころびました。
けれどアヤは、「私だけじゃなく、村のみんなも幸せになれたらいいのに」と願いました。
両親にそう伝えると、二人は笑って「それが一番の願いだね」と言いました。
そしてアヤは、手のひらに残った光を村の人々に分け与えました。
光は分けるたびにいっそう輝きを増し、村全体を包み込むように広がりました。
いつしか、村は豊かさと笑顔であふれるようになりました。
アヤがくれた贈り物は、お金では買えない本当の幸せでした。
人の優しさと思いやりが、星の光に宿っていたのです。
そして村の人々は、胸にその光を抱きしめながら、いつまでも笑顔で未来を歩き続けました。
コメント
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良い話ですね!